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⚡️電気の基礎から応用まで:知っておきたい知識まとめ

電気は私たちの生活に欠かせないエネルギー源です。ここでは、電気回路の基本から、制御技術、測定器具まで、幅広く知識をまとめてご紹介します。

電気回路の基本

電気回路は、電気が流れる通り道のことです。電源(電池や発電機など)から出た電気が、電線や抵抗器、コンデンサなどの部品を通って、再び電源に戻ってくるループ状の構造を指します。回路が閉じている(繋がっている)ときに電流が流れ、開いている(切れている)ときには流れません。

主な回路の種類には、直列回路並列回路があります。

  • 直列回路: 部品が一本道のように電流に対して直列に繋がれている回路。回路のどこか一箇所が切れると、全体に電流が流れなくなります。
  • 並列回路: 部品が複数に枝分かれして繋がれている回路。一部が切れても、他の経路を通じて電流が流れます。

オームの法則

電気の基本中の基本となる法則です。ドイツの物理学者ゲオルク・オームによって見出されました。$$\text{電圧}(\mathbf{V}) = \text{電流}(\mathbf{I}) \times \text{抵抗}(\mathbf{R})$$

  • 電圧 (V): 電気を流そうとする力(単位: ボルト [V])
  • 電流 (I): 実際に流れる電気の量や勢い(単位: アンペア [A])
  • 抵抗 (R): 電流の流れを妨げる度合い(単位: オーム [$\Omega$])

この法則により、回路内の電圧、電流、抵抗のいずれか2つがわかれば、残りの1つを計算で求めることができます。

電気の種類

電気には大きく分けて二つの種類があります。

  1. 直流 (DC: Direct Current)
    • 電流の流れる方向と大きさが常に一定です。
    • 乾電池やバッテリーなど、化学反応を利用する電源がこれにあたります。
    • 電子機器(スマートフォン、パソコンなど)の内部で使われています。
  2. 交流 (AC: Alternating Current)
    • 電流の流れる方向と大きさが周期的に変化します。
    • 家庭や工場に送られている商用電源(コンセントの電気)がこれにあたります。
    • 長距離送電に適しており、変圧器で容易に電圧を変えることができます。

交流の種類

交流は、電圧や電流の変化の仕方によって種類が分けられます。

  • 単相交流:
    • 電圧の波形が一組(位相が一つ)で構成される交流です。
    • 一般家庭のコンセントなどで使われています。
  • 三相交流:
    • 位相を $120^\circ$ ずつずらした三組の電圧波形(計三線)で構成される交流です。
    • 電圧が常に一定で、大きな電力を効率よく送れるため、主に工場やビルなどの動力源として利用されます。

接地(アース)

接地(せっち)、一般にアースと呼ばれます。電気機器の金属製の外枠などを、電気的に大地(地面)に繋ぐことです。

  • 目的:
    1. 感電防止: 漏電が発生した際、人体に電気が流れる代わりに接地線を通じて大地に電気を逃がし、感電を防ぎます。
    2. 機器の保護: 異常な電圧(雷サージなど)が発生した場合に、機器を保護します。

電気関係測定器具

電気回路の状態を知るために使われる重要な器具です。

器具名測定できるもの備考
テスター(マルチメータ)電圧、電流、抵抗一台で複数の電気量を測定できる最も一般的な測定器です。
電流計電流 (I)回路に直列に繋いで測定します。
電圧計電圧 (V)回路に並列に繋いで測定します。
電力計電力 (W)消費されている電力を測定します。
オシロスコープ電圧・電流の波形交流の波形や周波数、時間的な変化を視覚的に確認できます。
絶縁抵抗計(メガー)絶縁抵抗機器や電線の絶縁状態(漏電のしやすさ)を測定します。

電気制御回路

電気制御回路は、電気の力を使って機械や設備を自動的に動かしたり、動作を管理したりするための回路です。

  1. シーケンス制御:
    • あらかじめ定められた順序や条件に従って、機器をON/OFFする制御です。
    • 信号の入力(センサーなど)に応じて、出力(モーター、ランプなど)を制御します。
    • 以前はリレー(電磁継電器)を組み合わせて実現されていましたが、現在はPLC(プログラマブルロジックコントローラ)が主流です。
  2. フィードバック制御(クローズドループ制御):
    • 制御対象の状態(温度、速度など)をセンサーで測定し、その結果を目標値と比較して、誤差をなくすように出力を調整する制御です。
    • エアコンの温度制御などが典型的な例です。

動力制御機器

大きな電力を扱うモーターなどの動力を制御するために使われる機器です。

  • 電磁接触器(マグネットコンタクタ):
    • 電磁石の力で回路の開閉を行うスイッチで、モーターなどの大きな電流が流れる回路のON/OFFに使われます。
    • 制御回路(低電圧)で、動力回路(高電圧・大電流)を間接的に操作できます。
  • サーマルリレー(熱動継電器):
    • モーターが過負荷(規定以上の電流が流れる)になった際に、熱によって動作し、動力回路を遮断してモーターを焼損から守る保護装置です。
  • インバータ:
    • 交流の周波数を変えることで、モーターの回転速度を自由に制御するための装置です。
    • 省エネルギー化に大きく貢献します。

センサー・スイッチのいろいろ

電気制御回路の「目」や「手」となる重要な部品群です。

種類役割・機能具体的な例
リミットスイッチ機械的な接触により、動作端の位置を検出するスイッチ。工作機械などで可動範囲の終端検出に使われます。
近接センサー接触せずに、物体が近づいたことを電気的に検出するセンサー。金属やプラスチックなどの有無を検出します。
光電センサー光の投光器と受光器を使い、物体が光を遮ったことを検出するセンサー。製造ラインでの製品カウントなどに使われます。
温度センサー温度を電気信号(電圧や抵抗値)に変換して検出するセンサー。恒温槽の温度管理などに使われます。
押しボタンスイッチ人が押すことで回路を一時的にON/OFFするスイッチ。機械の起動・停止ボタンなど。

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