事業

🔥 日常の油にも潜む危険!動植物油類の性質と最も注意すべき「自然発火性」

私たちは毎日、料理や生活の中で油(動植物油類)を使っています。身近で便利なこれらの油ですが、消防法上の分類では**「第4類危険物」**に指定されており、取り扱いには注意が必要です。

今回は、動植物油類とは何か、どのような危険性があるのか、そして最も注意すべき**「自然発火性」**について詳しく解説します。

動植物油類とは?🤔

🔬 定義と位置づけ

動植物油類は、その名の通り**「動植物から得られる油脂で引火点が$250^{\circ}\text{C}$未満」**のものと定義されています。

第4類危険物の中では、ガソリンのような特殊引火物アルコール類石油類(第1〜第4)といった危険性の高いものに次いで、最も危険性が低い7番目の分類として位置づけられています。

身近な油の代表例と共通する性質

🌿 代表的な動植物油

日常でよく目にする亜麻油(あまゆ)ヤシ油オリーブ油などが動植物油類の代表例です。

💧 共通する性質(火災の危険性)

動植物油類は危険性が低いとはいえ、火災になった場合、以下のような共通した危険な性質を持っています。

  1. 性状: 粘り気のある**液体(燃焼性のある液体)**です。
  2. 溶解性: 非水溶性(水に溶けない)です。
    • 比重が1以下の油が多いため、火災時に水をかけると油が水の上に浮き広がり、かえって火災を拡大させてしまう危険性があります。
  3. 火災時の特性:
    • 引火点は高いものの、一旦燃え出すと燃焼温度が高く、火が消えにくいため消化が困難になります。これは、引火点が$200^{\circ}\text{C}$以上の第3石油類第4石油類と共通する特徴です。
  4. 化学的特徴: 不飽和脂肪酸を多く含むものが特徴的です。

🔥 最も重要な危険性:自然発火性

動植物油類を学ぶ上で最も重要かつ特殊な危険性が、自然発火性です。

💥 自然発火のメカニズム

自然発火性とは、外部からの加熱なしに、空気中で酸化された際に発生した熱が蓄積し、油自体の発火点に達して発火する性質を指します。

  1. 酸化と熱の発生: 油に含まれる不飽和脂肪酸が、空気中の酸素とゆっくり反応(酸化)します。この酸化反応の過程で熱が発生します。
  2. 熱の蓄積: 熱が外に逃げにくい状態(例えば、布などに染み込んで積み重ねられた状態)にあると、発生した熱がどんどん蓄積されます。
  3. 発火: 油の温度が上がり続け、やがて油の発火点に達すると、自然に炎を上げて燃え出します。

🚨 特に危険な油:乾性油(かんせいゆ)

不飽和脂肪酸が多く含まれ、特に酸化しやすい油は乾性油と呼ばれ、最も発火しやすいとされています。

自然発火のしやすさを測る指標としては**「ヨウ素価(ようそか)」**という数値が使われます。

💡 ヨウ素価とは? 危険物がヨウ素という物質とどれだけ反応できるかを示す数値です。このヨウ素価が高いほど、空気中の酸素と反応しやすい、つまり自然発火しやすいことを示しています。

⚠️ 日常での注意点

天ぷら油の処理に使ったキッチンペーパーや、油が染み込んだウエス(布)などをそのままゴミ箱に捨てたり、丸めて放置したりすると、酸化熱がこもり自然発火の原因となることがあります。

使用済みの油が付着した布などは、水に浸すなどして熱がこもらないように処理することが、動植物油類による火災を防ぐための重要なポイントです。

タイトルとURLをコピーしました