こんにちは!生産管理の要である資材調達は、「いつ、何を、どれだけ」仕入れるかによって、コストと在庫リスクが劇的に変わります。今回は、この調達計画の核となるMRP(資材所要量計画)と、調達量を最適化する経済的発注量(EOQ)の考え方を解説します。
MRPの核心機能:資材の「いつ、どれだけ」を算出する仕組み
MRP(Material Requirements Planning、部品所要量計算)の最も基本的な役割は、生産スケジュールに基づき、必要な資材を過不足なく、適切なタイミングで調達するための計画を立てることです。
🧩 部品展開(BOM)に基づく所要量計算
MRPの計画の土台となるのが、部品展開(BOM: Bill of Materials)です。
- BOM:製品を構成する部品や原材料の一覧と、それぞれの使用量が階層構造で示されたリストです。
- MRPは、最終製品の生産計画をこのBOMを使って下位層に展開し、個々の部品の在庫、リードタイムを考慮しながら、いつ発注すべきかを算出します。
このMRPが、製造現場への生産指示と、資材調達部門への購買指示を統合して出力します。
MRPの限界:カスタマイズ性と部品の多さ
しかし、この強力なMRPにも限界があります。ソースが指摘するように、以下の特徴を持つ製品への適用は慎重に行う必要があります。
- 中間部品が多い製品
- カスタマイズが多い製品
これらの製品に対してMRPを厳格に適用し、計画通りに大量仕入れをしてしまうと、需要予測が困難なために、購入単価の変動リスクだけでなく、不良在庫として部品が余るリスクが高まります。MRPは万能ではない、という実務上の重要な注意点です。
調達量を最適化する:経済的発注量(EOQ)
MRPが「いつ」発注するかを決めるのに対し、経済的発注量(EOQ: Economic Order Quantity)は、「どれだけ」発注するのが最も経済的かを算出するための理論的な手法です。
EOQの目的は、在庫を持つための費用(在庫維持費用)と、発注にかかる費用(発注費用)の合計が最小になるような発注量を求めることです。
| 費用項目 | EOQの算出に使用される要素 |
| 在庫維持費用 | 単価、在庫維持費用比率(資本コストや倉庫費用など) |
| 発注費用 | 人件費(発注業務にかかる費用)、通信費、購入単価の変動を考慮したリスク費用 |
EOQ=単価×在庫維持費用比率2×年間総使用量×発注費用
EOQを算出するには、年間の使用予定量(年間総使用量)を正確に把握し、上記のような発注費用や在庫維持費用比率などの要素を組み込む必要があります。
⚖️ MRPとEOQの連携
- MRPが、必要部品の年間総使用量と購入単価の変動を考慮した適切な発注時期を計画します。
- EOQは、その部品を単価と各種費用に基づいて、一度に「どれだけ」発注すればコストが最小になるかを決定します。

