データ主義（事実管理）と安定性の追求
品質改善の「判断基準」を提供する原則です。経験や感覚ではなく、客観的なデータと事実に基づいて現状を把握・分析することを最重要視します。
- データと事実に基づく判断: 改善活動の基盤は、現状分析です。判断の誤りを防ぎ、真の問題箇所を特定するためには、データが不可欠です。
- 「ばらつき」の理解: 品質安定性の核心は、製品やデータの**ばらつき（散らばり具合）**を小さくすることにあります。平均値が良くても、ばらつきが大きいと安定しているとは言えません。ばらつきの理解と低減が、安定した品質の追求につながります。
原流主義と根本原因の追求
問題解決の「アプローチ」を示す原則です。発生した結果（不良）ではなく、その**発生源（原流）**に遡って、真の根本原因を突き止めます。
- 原流主義の徹底: 不良をそのまま流さず、その発生原流まで遡って原因を究明する姿勢が、真の原因追求を可能にします。
- 「なぜなぜ分析」とツールの活用: 表面的な事象ではなく、根本原因（要因）を見つけ出すために、特性要因図（「なぜなぜ分析」の可視化手法）や散布図などの分析ツールが有効活用されます。
歯止めと再発防止・標準化
改善効果を「維持・定着」させるための原則です。せっかくの改善活動をムダにしないために、問題の再発を防ぎ、改善後の良い状態を組織に組み込みます。
- 根本原因への対策: 再発防止のためには、表面的な対策ではなく、突き止めた根本（根元）原因への対策が最も重要です。
- ポカ避け（フールプルーフ）の工夫: ヒューマンエラーによる再発を防ぐため、物理的に誤りを起こせないようにするポカ避け（例：部品の形状変更、センサー検知）を仕組み化します。
- 標準化による定着: 改善後の最適な状態を維持するため、その新しいやり方を標準化します。これにより、特定の個人に依存すること（属人化）を防ぎ、誰でも安定して改善効果を出せるようにします。
活動の基盤と最終目的
活動の「枠組み」と「ゴール」を明確にする原則です。論理的な手順で進め、明確な目的に向かいます。
- PDCAサイクルを基盤とした推進: 品質改善は、PDCAサイクル（計画・実行・確認・改善）をベースとしたQCストーリー（7ステップ）という手順で論理的に進められます。この手順を踏むことで、原因と効果が明確になり、効率的な問題解決が可能になります。
- 最終目的: 品質改善の究極の目的は、顧客満足と経済性（コストを抑えながら品質を高める工夫）の両立にあります。品質向上を通じてお客様に満足してもらいつつ、ムダを削減し、企業として持続可能な成長を目指します。
これらの原則は、ビジネスにおける品質管理の成功に不可欠な論理性、客観性、体系性を担保しています。
