データの解析と活用は、ビジネスの質を高め、継続的な成長を実現するための鍵です。しかし、ヒストグラムや散布図で「問題がある」と分かっても、「なぜ問題が起きているのか?」という根本原因が分からなければ、効果的な対策は打てません。
ここで登場するのが、根本原因を体系的に見つけ出すための強力なフレームワーク、特性要因図(とくせいよういんず)、別名フィッシュボーンズです!🎣
📌 特性要因図とは?その定義と目的
定義と別名
特性要因図は、特定の問題(特性)が発生した際、その問題を引き起こしているすべての原因を体系的かつ漏れなく整理するための図です。その形状が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーンズとも呼ばれます。
究極の目的
この図の最終的な目的は、**品質のばらつきや不適合品(不良)**といった問題の原因を、網羅的に整理し、改善活動の方向性を決定づけることです。
つまり、「どこを改善すれば良いか」を明確にするための、道しるべとなるのです。
🛠️ 特性要因図の作り方:4Mで原因を分類する
特性要因図は、以下の3つの要素で構成されています。
1. 特性(結果)の設定
まず、図の右端に水平線と矢印を書き、その先に「不適合品発生」など、**調査したい具体的な問題点(特性)**を書き込みます。これが「魚の頭」にあたります。何の原因を調べるのかを決めるのがスタートです。
2. 主要な原因(大骨)の設定:4Mの活用
水平線から斜めに太い枝(大骨)を伸ばし、原因を分類するための大きな枠組みを設定します。製造業や品質管理の分野で一般的に使われるのが、次の4Mです。
| 4Mの要素 | 分類される原因の例 |
| マン (Man) | 作業標準を守っていない、教育不足など、人に起因する要因 |
| マシン (Machine) | 保守がされていない、型が古いなど、設備に起因する要因 |
| マテリアル (Material) | 現在の種類やロットの品質の違いなど、材料に起因する要因 |
| メソッド (Method) | 測定方法や作業手順など、手順に起因する要因 |
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⚠️ 注意点! 4Mに「マネー(資金)」は含まれません。あくまで現場での直接的な要因に焦点を当てます。
3. 具体的な原因(小骨・孫骨)の書き込み
4Mのそれぞれの枝に対して、さらに枝を伸ばして具体的な原因を書き込んでいきます。例えば、「マン(人)」の枝に「教育不足」と書き、さらにその下に具体的な詳細を書き込む、といった作業です。
💡 効果的な活用方法と次のステップ
特性要因図は、単なる図の作成で終わりではありません。その活用プロセスこそが、改善の肝となります。
ブレーンストーミングで「漏れなく」原因を洗い出す
図の作成において最も重要なのは、現場のメンバーが参加してのブレーンストーミングです。
- 批判はしない: どんな意見も否定せず、アイデアを広げることに集中します。
- 網羅的に: できるだけ多くの意見を自由に出し合い、「こんなはずはない」というものも含めて原因を漏れなく書き出します。
このプロセスを通じて、普段見過ごされがちな潜在的な原因も浮き彫りになります。
継続的な改善サイクルへ
特性要因図は、一度作ったら終わりではなく、現場の意見を取り入れて修正・更新しながら、常に完成度を高めていくべきツールです。
原因が整理された後は、いよいよ次のステップに進みます。
- 特性要因図で洗い出された原因に基づき、影響度や緊急性を考慮して改善の優先順位を決定します。
- 具体的な対策を検討し、実行に移します。
結論:データ分析と改善活動をつなぐ架け橋
データの解析と活用という大きな文脈において、特性要因図は、**ヒストグラムや散布図で確認された「問題」**と、組織的な「改善活動」をつなぐための、不可欠な分析ツールです。
データが示す「何が起きているか」を、特性要因図を通じて「なぜ起きているのか」という洞察に変え、より効率的で効果的な改善活動へと繋げていきましょう!✨

