QC検定3級の学習範囲である「新QC七つ道具」は、従来のQC七つ道具が数値データの分析に強いのに対し、言語データや質的な情報を整理し、複雑な問題を解決するための強力なツールです。これらは、問題解決のプロセスに沿って使うことで、原因の深掘りや目標達成のための計画立案に役立ちます。
各ツールの個別解説
新QC七つ道具は、単独で使うだけでなく、お互いを関連付けて活用することで、より効果を発揮します。 一般的に、問題解決のプロセスは以下の流れで進みます。
- 問題の特定と情報整理: まず、漠然とした問題を明確にし、関係者の意見やアイデアを整理します。この段階では「親和図法」や「連関図法」が有効です。
- 原因の分析と目標設定: 問題の原因を深掘りし、目的を達成するための手段を体系的に考えます。ここでは「系統図法」や「連関図法」が役立ちます。
- 計画の立案と進捗管理: 計画を具体化し、スケジュールの管理やリスクへの備えを行います。この段階では「マトリックス図法」や「アローダイアグラム法」「PDPC法」が活用されます。
- データの分析と評価: 最後に、収集したデータを分析し、計画の進捗や結果を評価します。ここでは「マトリックス・データ解析法」が使われることがあります。
1. 親和図法(KJ法)
親和図法は、言語データを整理し、本質的な問題を浮き彫りにする手法です。バラバラに集めた意見やアイデアをカードに書き出し、似ているもの同士をグループ化(親和性を持たせる)することで、問題の全体像や新たな視点を発見します。主に、チームでのブレインストーミングや、顧客の声の分析などに用いられます。
2. 連関図法
連関図法は、複雑に絡み合う原因と結果の因果関係を明確にする手法です。問題を引き起こす要因を洗い出し、それらがどのように影響し合っているかを矢印でつなげて図式化します。これにより、最も根本的な原因(根本原因)を特定し、効果的な対策を立てることができます。
3. 系統図法
系統図法における系統図の種類は, 方策 展開型と 構成 要素展開型の二つに大別される。 方策 展開型では,問題を解決するための 方策 を目的と手段の関係で実施可能な 方策 まで系統的に展開し,最適作を得るようにする。 構成 要素展開型は,目的とする対象を, 構成 する要素に系統的に展開し,必要に応じ 構成 要素の改善を行うのに用いられる。
4. マトリックス図法
マトリックス図法は、複数の要素間の関係性を整理し、可視化する手法です。行と列にそれぞれ項目を配置し、交わるセルに記号や数値を記入して、関係の強さや有無を表現します。これにより、多角的な視点から物事を分析でき、例えば「顧客の要求」と「製品の機能」の対応関係を明確にする際に役立ちます。
5. アローダイアグラム法
アローダイアグラム法は、複雑なプロジェクトのスケジュール管理に用いられる手法です。各作業を矢印(アロー)で表し、作業の順序や所要時間を明確にすることで、全体の最短工期(クリティカルパス)を把握できます。これにより、ボトルネックとなっている作業を特定し、効率的な計画を立てることが可能です。
6. PDPC法(Process Decision Program Chart)
PDPC法は、未来に起こりうる不測の事態やリスクを予測し、事前に対策を立てるための手法です。計画の各ステップで起こりうるトラブルを想定し、それが起きた場合の代替案や回避策をツリー状に図示します。これにより、不確実性の高いプロジェクトでも、円滑に進行するための道筋を複数用意することができます。
7. マトリックス・データ解析法
マトリックス・データ解析法は、複数の要因が複雑に絡み合うデータを、数値的に分析する手法です。マトリックス図法で整理したデータに、多変量解析などの統計的手法を適用することで、見えない潜在的な関係性を明らかにします。これは、より専門的で高度な分析に用いられることが多いです。

