8割以上の人が退職1年前まで金額を把握していない。その無関心が、老後の命取りになる。2025年・令和5年調査データ掲載·読了時間:約5分·参考:マネーセンスカレッジ動画「自分の退職金がいくらか、知っていますか?」——厚生労働省のデータによると、大卒・定年退職者の平均退職金は約1,896万円。しかし多くの人が、その金額を受け取るその日まで把握していません。この無知が、詐欺被害や老後破綻を招く最大の原因です。
現代の退職金事情——平均はいくらか
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」より、勤続20年以上・45歳以上の定年退職者の平均退職給付額(学歴・職種別)は以下の通りです。
大卒・大学院卒
(定年退職)1,896万円(月収の約36か月分)
高卒
(ホワイトカラー)1,682万円(月収の約38.6か月分)
高卒
(ブルーカラー)1,183万円(月収の約34.3か月分)
バブル期との比較
バブル期には大卒の退職金平均が4,000万円近くまで達した時代もありましたが、デフレの影響を受け現在は2,000万円を切る水準まで低下。給与もここ数年で1万円程度しか上がっておらず、退職金も横ばい(微減)が続いています。
また、企業側の一括支払い負担が大きいことから、現在は確定拠出年金(企業型DC)や確定給付年金(DB)へのシフトも進んでいます。自分の会社がどの制度を採用しているか、把握することが第一歩です。
8割以上が「直前まで知らない」という現実
フィデリティ退職投資教育研究所(2019年)の調査によると、退職金の金額を把握した時期は次のような結果でした。退職するその時まで31.6%覚えていない19.9%半年〜1年以内約32%
合計すると、全体の約83.8%が退職1年前まで自分の退職金額を知らないという計算になります。さらに、把握した方法でも「会社からの通知(受け身)」が68.9%を占め、自分で調べた人はわずか15.4%にとどまっています。
大金が突然振り込まれる——詐欺師が狙う瞬間
退職後に1,800〜2,000万円が口座に振り込まれると、運用の知識がない状態では判断力が鈍ります。警察庁の統計では、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の被害者に60〜70代が多く、男性では被害者の約半数、女性でも約40%がこの年代です。
詐欺の典型的な手口
「今すぐ一括投資しないと間に合わない」と時間的余裕を奪い、冷静な判断を妨げます。正しい資産運用はゆっくり時間をかけた分散投資が基本。退職前から金額を把握し心の準備をしておくことが、最大の防衛策です。
今すぐ確認すべき3つのポイント
定年の5年前を目安に、以下の3点を自分で確認し、ファイナンシャルプランを立てることが推奨されています。
- 1退職金の額と制度を確認する退職一時金はいくらか。企業型DCやDBなど、どの制度が適用されているかを把握する。「老後は安泰か・節約が必要か・継続雇用で働くべきか」の判断基準になります。
- 2受け取り方をシミュレーションする「一括(一時金)」「年金形式(分割)」「他制度へのポータビリティ(移換)」のどれが自分に合っているか、事前に比較検討する。
- 3税金の仕組みを理解する受け取り方によって「退職所得控除」や「公的年金等控除」の適用が変わり、税負担が大きく異なります。直前では対策できないため、数年前からどの方法が節税になるか把握しておくことが重要です。
「調べる」だけで上位2割に入れる
退職金を自分で調べている人はわずか15.4%。まず会社に確認する・就業規則を読む——その一歩だけで、金融リテラシーの低い上位8割を追い抜くことができます。老後資金の準備は、早く始めるほど選択肢が増えます。

