危険物取扱者乙種第4類(乙4)の試験において、第4類危険物の分類とそれぞれの性質を理解することは必須です。その中でも、「特殊引火物」に次いで危険性が高いとされるのが「第1石油類」です。
本記事では、乙4の学習コンテキストに基づき、第1石油類の定義、代表的な物質、そして個々の性質について詳しく解説します。
第1石油類とは?定義と危険性の位置づけ
定義
第1石油類は、引火点が$21^{\circ}\text{C}$未満のものと定義されます。この低い引火点が、高い危険性の根拠となっています。
危険性の位置づけ
第4類危険物において、引火点が極めて低い「特殊引火物」(例:ジエチルエーテル、二硫化炭素)が最も危険とされています。第1石油類は、この特殊引火物の次に危険性が高い分類と位置づけられています。
この危険性の順序をしっかり覚えておきましょう。
第1石油類の代表例:5つの重要物質
第1石油類の代表例として、特に覚えておくべき物質は以下の5つです。これらの物質は、その水溶性(水に溶けるかどうか)の違いも重要です。
| 物質名 | 水溶性/非水溶性 | 特徴(溶剤、燃料など) |
| ガソリン | 非水溶性 | 燃料、「石類」の代表格 |
| ベンゼン | 非水溶性 | 芳香族化合物、毒性が高い |
| トルエン | 非水溶性 | 芳香族化合物、ベンゼンより毒性低い |
| メチルエチルケトン (MEK) | 非水溶性 | ケトン類、塗料の溶剤 |
| アセトン | 水溶性 | ケトン類、マニキュアの除光液 |
特にアセトンは、第1石油類の中で唯一、水溶性である点を押さえておきましょう。
個別物質の徹底解説
A. ガソリン:第1石油類の代表格
ガソリンは、第1石油類の代名詞とも言える物質で、その性質は「石類」の基本として重要です。
- 生成: 原油を分流(沸点の差を利用した蒸留)して作られます。灯油、軽油、重油も同様です。
- 特徴:
- 本来無色ですが、灯油や軽油との誤認を防ぐためオレンジ色に着色されています。
- 特有の臭気(におい)があります。
- 不良導体で、静電気が発生しやすい性質を持ちます。
- 物性:
- 引火点:−40∘C、沸点:38∘C∼220∘C、発火点:300∘C。引火点も沸点も極めて低いです。
- 比重:0.65∼0.75(水より小さい)。水に浮く非水溶性です。
- 燃焼範囲:1.4∼7.6。
B. ベンゼンとトルエン:芳香族の双子
構造がよく似ており、性質も共通点が多い化合物です。
| 項目 | ベンゼン | トルエン |
| 構造 | 「亀の甲」構造 | ベンゼン環にメチル基が一つ結合 |
| 引火点 | −1∘C | 4∘C |
| 沸点 | 80∘C | 111∘C |
| 毒性 | 高い | ベンゼンより低い |
- 共通点: 無色透明の液体、芳香臭(方向臭)がある、非水溶性で有機溶剤に良く溶ける。発火点、比重、燃焼範囲もほぼ同じです。
- 物性の差: トルエンの方がベンゼンよりも分子量が大きいため、引火点・沸点ともにやや高くなります。
C. アセトンとメチルエチルケトン (MEK):溶解性の違いが重要
どちらもケトン類で溶剤として使用されますが、溶解性の違いが最大の特徴です。
| 項目 | アセトン | メチルエチルケトン (MEK) |
| 溶解性 | 水溶性 | 非水溶性 |
| 用途例 | マニキュアの除光液 | 塗料の溶剤 |
| 引火点 | −20∘C | −9∘C |
| 沸点 | 56∘C | 80∘C |
- 共通点: 無色の液体、特有の匂いがある。
- 物性の差: MEKの方が分子量が大きいため、引火点・沸点ともにMEKの方が高いです。
- その他: アセトンは油脂をよく溶かす性質も重要です。
アルコール類との比較
第1石油類は、同じく引火点が低いアルコール類(炭素数が1〜3の飽和一価アルコール)と関連づけて学習されることがあります。
- アルコール類は、第1石油類よりも燃焼範囲が広いという特徴があります。
- 燃焼範囲が広いということは、それだけ爆発の危険性が高いことを示しており、アルコール類も非常に危険な物質であると言えます。

