「日本政府の借金が多すぎて、いつか破綻するのではないか?」――そんな不安を抱いたことはありませんか? 実は、自国通貨建ての日本国債がデフォルト(債務不履行)することはないと説明する論文が発表されています。今回は、関西学院大学のパク・スンジュン教授によるPEPディスカッションペーパー2023-02の内容を基に、その理由を分かりやすくご紹介します。
お金の流れを「貸借対照表」で理解する
この論文が解説の軸としているのは、以下の4つの経済部門の貸借対照表です。
- 政府
- 日本銀行
- 民間金融機関
- 民間非金融機関
それぞれの部門の貸借対照表を使い、お金がどのように生まれ、消え、そして各部門間を行き来するのかを、具体的なシナリオを通じて詳細に分析しています。これにより、財源がどのように生み出され、政府支出や財政赤字がどう影響するのかがクリアになります。
国債の償還、金利、そしてマネタリーベース
論文では、以下のような具体的な疑問にも答えています。
- 国債の償還(返済)と借り換え:国債の返済はどのように行われ、それが経済にどう影響するのか。
- 金利の支払い:国債の金利支払いは、お金の流れの中でどのような役割を果たすのか。
- 日本銀行の役割:日本銀行が貸し出しを行うことで、マネタリーベース(世の中に出回るお金の量)がどのように増えるのか。
- 銀行貸し出しと貨幣供給:民間銀行が企業や個人にお金を貸し出すことで、世の中の貨幣供給量(マネーストック)がどう変化するのか。
これらの要素を貸借対照表を使って追っていくことで、日本政府がいくら国債を発行しても、自国通貨建てである限りデフォルトは起こらない、という結論が導き出されます。
なぜユーロ圏は財政破綻のリスクがあるのか?
さらに興味深いのは、論文がユーロ圏加盟国が財政破綻に直面する可能性がある理由についても触れている点です。自国通貨を発行できないユーロ圏の国々と、自国通貨(円)を発行できる日本とでは、財政のメカニズムが根本的に異なることが示唆されています。
まとめ
パク教授の論文は、難解に思える政府の財政や金融の仕組みを、貸借対照表というツールを使って分かりやすく解説しています。これにより、「国の借金」に対する漠然とした不安を解消し、より正確な知識で経済を理解する手助けをしてくれます。

