保険金融

【保険】第三分野保険(ステップ3:商品選定)

保険
固定消費固定投資変動消費変動投資
ステップ1
ファイナンシャルプランニング
税金保険貯蓄運用生活/住宅事業教育
ステップ2
戦略選定
税金/保険貯蓄/運用生活/住宅事業教育
ステップ3
商品選定
税金/保険貯蓄/運用生活/住宅事業/教育
ステップ4
購入方法選定
税金/保険貯蓄運用生活住宅事業/教育

加入条件

公的保険は原則強制加入で、日本の全国民は一定の医療を受けれる国民皆保険が実現しています。会社に勤める第2号被保険者と、その扶養を受ける第3号被保険者は職域保険の健康保険に、そうでない20歳以上の第1号被保険者は地域保険の国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入することになっています。

特に職域保険については、図表のような条件のもと被用者(労働者)がいる事業所は原則強制適用、その事務所は適用事業所といいます。

図表:職域保険の加入要件(適用事業所)

なお、健康保険及び厚生年金保険については、上記の適用事業所に勤務して、図表のような要件に該当するすべての人が(本人の意思に関係なく)被保険者になります。特に106万円の壁ともいわれる年収基準が有名ですが、このライン付近の年収の人は社会保険料の徴収により手取りが減ることになるので注意が必要です。

図表:健康保険及び厚生年金保険の被保険者となる要件

  • すべての事業所で次のいずれかに当てはまる場合
    • 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
    • 1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
  • 従業員数100人を超える事業所で次のすべてに当てはまる場合
    ※令和6年10月から50人超に改定
    • 1週間の所定労働時間が正社員の20時間以上
    • 賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上
    • 勤続期間2ヶ月越えの見込み
    • 学生でないこと

健康保険の任意継続被保険者

被保険者が会社を退職した場合、健康保険の被保険者の資格はなくなりますが、下記図表の一定の要件を満たせば、退職した理由(自己都合や会社都合)に関係なく、退職前の健康保険に加入することができます。ハツカ(20日)ネズミを猫が追いかけるているのでしょうか、ニャ(2年)ーニャー(2ヶ月)うるさいですね。

図表:健康保険の任意継続被保険者の要件

  • 退職後2年間
  • 健康保険を継続して2ヶ月以上の加入
  • 退職日の翌月から20日以内の申請
  • 被保険者の年齢が75歳未満である

ただし、この場合の保険料は退職者が全額自己負担、資格喪失した時の標準報酬月額または28万円(平成30年度)の少ない方が標準報酬月額となり、国民健康保険に加入する、家族の健康保険の被扶養者になるという理由で、途中で任意にやめることはできません。

任意継続しない場合は、①国民健康保険などの地域保険に加入する、②家族の健康保険の被扶養者になる、などの選択肢がありますが、保険料や保障内容との総合的な検討が必要です。特に扶養している家族がいる場合は、国民健康保険に加入すると保険料は扶養家族のものも必要になり、保証も薄くなることから任意継続のメリットが大きくなる可能性が高いです。

被扶養者

健康保険や介護保険では、被保険者に扶養されている被扶養者も、保険料を支払いことなく保険給付を受けることができます。さらに公的医療保険において後期高齢者医療制度に移行した後においても、被扶養者であった人は保険料の軽減措置があります。

図表のように範囲と要件が定められています。所得税・住民税の税法上の扶養とは基準が違うことに注意が必要で、一般に130万円の壁といわれるものがありますが、60歳以上または一定の障害者である場合は180万円未満となります。ただし、75歳以上の人など後期高齢者医療制度の被保険者は被扶養者になれません。また、雇用保険の基本手当を受給する場合は、基本手当日額が3,612円未満、60歳以上は5,000円未満であることが要件です。

自営業の方の年収は、年間総収入から直接的経費を差し引いた額となります。直接的経費とは、その経費がなければ事業が成り立たない経費 (例:製造業における原材料費、小売業における仕入れ費)であり、それ以外の費用(例:公租公課、宣伝費)は差し引くことはできません。

協会けんぽの場合は年収130万円を基準にしていますが、健康保険組合の場合については、各組合が被扶養者となる要件について規定していますので、詳しくは、会社の総務もしくは健康保険組合にご確認ください。

図表:健康保険の被扶養者になる範囲と要件

被扶養者になることで社会保険料の削減ができますが、被扶養者には傷病手当金、出産手当金の支給がありません。病気や怪我の予測はできませんが、出産はある程度の見通しが立つはず。予定があるようでしたらあえて扶養に入らず手当を受けた方がいい場合もあります。

社会保険料

被保険者の社会保険料は、下記の計算式により求められます。したがって、保険料を節約するためには、①標準報酬月額・賞与額を下げる方法と、②保険料率を下げる方法があります。

  • 被保険者の社会保険料①標準報酬月額・賞与額×②保険料率

会社員の場合の社会保険料は、節約することもでき、それにより毎月の給料の手取りが増えますが、しかし、将来もらえる年金や傷病手当金の減額につながります。手取り額の増えた分を貯めておくなど、生活防衛のファイナンシャルプランを立てておくことは必要です。

①標準報酬月額・賞与額を下げる方法

標準報酬月額および標準報酬賞与額は、〇〇円~〇〇円の給与・賞与の人の標準報酬月額・賞与額は〇〇円というような、被保険者が受け取る給与(サラリー)や賞与(ボーナス)を基準に、1~50の等級に区分して、その区分ごとに決められた金額のことです。標準報酬月額・賞与額を下げる方法として挙げられるのは、次のようなものがあります。

給与・賞与以外の収入を得る。

給与・賞与というのは会社など使用者から被用者が受け取る収入を意味しています。したがって、被用者として受け取るのでなければ標準報酬月額・賞与額を増やすことにはならないのです。法人からの給与はできる限り少なく、個人事業主としての事業収入を多くすることで、最低限の保険料で社会保険の手厚い保証を受けるマイクロ法人のスキームが有名です。

残業代を減らす、昇給時期をずらす。

標準報酬月額は、4~6月の3ヶ月平均を9月から翌年8月までの給料とみなす定時決定が原則です。つまり残業時間を抑えたり、昇給のタイミングを7月にするなど、4~6月の給与を下げれば年間の社会保険料は節約できます。残業代はもちろん、宿直手当、通勤手当も含みませんが、実質弁償的な出張手当などは含みません。また、17日未満の月は対象外です。ただし、実際に受取っている報酬の額に2等級以上の変動がある場合は、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4カ月目の標準報酬月額から改定する随時改定が行われます。

選択制確定拠出年金に加入する。

選択制確定拠出年金に加入すれば掛け金は給与として受け取っていないことになりますので、社会保険料を節約することができます。注意としては「選択制」のみである点です。確定拠出年金の種類と節約効果についてまとめたのが下の表です。

企業型確定拠出年金のうち、選択制 税金と社会保険料の両方節約可能
企業型確定拠出年金のうち、マッチング拠出 税金のみ
個人型確定拠出年金 税金のみ

しかし万能に思える選択制確定拠出年金ですが、すべての会社が制度として採用しているわけではありませんので、制度がある会社にお勤めの場合は有効利用したいですね。

高所得者になる

厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料には保険料の上限額が設けられています (加入している社会保険組合によって多少異なります) 。最大の等級である50等級は標準報酬月額139万円、標準報酬賞与額の上限は573万円です。これ以上の給与・賞与があっても社会保険料が上がることはありません。573万円以上の年収なら、毎月の給料でもらうよりも、賞与で一括でもらう方が上限を超える分節約になります。

産休・育児休業

産休期間中(原則産前42日)及び育休期間中(3歳までの子を養育するための育児休業期間)における社会保険料は、被保険者および事業主分ともに免除されます。給与や賞与の支給が無くなるためです。免除される期間については、『育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)まで』となっています。これはつまり、月末まで休業していた場合はその月分は免除、月の途中で復職した場合はその月分は免除にならない、ということです。男性が育児休業を取得した場合も、もちろん免除になります。

1月11日~1月31日の休業の場合 1月分の社会保険料は免除なし
1月10日~1月30日の休業の場合 1月分の社会保険料は免除あり

同じ休業日数でも、月末を含むかどうかで1か月分の保険料免除を受けられるかどうかが変わっちゃうんです。

・2回に分けて取得
・1回目は出産月〜翌月の末日まで
・2回目はボーナス月の最終営業日〜月初の営業日前日まで

なお2019年4月より国民年金第1号被保険者が出産する場合も国民年金保険料が免除される制度ができました。届出をすることにより、出産予定日または出産日が属する月の前月から4月間の国民年金保険料が免除され、その期間は受給資格期間および納付済期間に算入されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間です。

②保険料率を下げる方法

保険料率は、標準報酬月額や賞与額に乗じて保険料を算出する割合です。この保険料率は保険者によって決められていて、さらに労使折半、半分は使用者、残り半分は被用者(被保険者)が負担することとなっていています。

保険料率の低く、従業員負担割合が少ない会社に勤める。

健康保険のうち協会けんぽは都道府県ごとに、組合健保は組合ごとに3.0%~13.0%の範囲内で保険料率が異なります。さらに組合健保は、保険料率だけでなく労使の負担割合も様々です。協会けんぽは2023年現在新潟県の9.33%(個人負担4.66%)(協会けんぽさん)、組合健保は公開されているものだと2022年現在日本郵船6.00%(個人負担1.50%)(給与担当者の実務メモさん)が最低割合となっています。ただし、「厚生年金」と「介護保険」の保険料率は全国・全組合で共通です。

医療保険

医療保険は、病気や怪我などへ医療費に備える保険です。日本の公的医療保険は非常に優秀で、特に高額療養費制度があるので所得のある方でも月10万円程度の負担で治療を受けることができるのです。となると備えておきたいのは、月10万円ほどの負担が何年も続く長期療養のとき。十分な貯蓄がある場合を除けば生活の破綻リスクがあるため、保険が最も適した対策となります。

なお、ケガや病気で被保険者本人が受け取る給付金に税金はかかりません。また、保険料は介護医療保険料控除の対象となりますが、損害保険や定期保険は対象にはなりません。

療養の給付

公的医療保険被保険者の傷病については、保険医療機関または保険薬局等に保険証を提示することで、療養の給付(家族療養費)を受けることができます。現物給付であり、療養に要した費用のうち一部を、一部負担金として図表のように原則3割の自己負担で被保険者が保険医療機関または保険薬局等に支払います。被保険者の業務外における傷病は労災保険の保障になるので、健康保険は適用されません。なお、後期高齢者医療制度における75歳以上の人の自己負担割合は、現役並所得者を除き2022年10月より下記の所得がある場合は2割に引き上げられています。また、保険証の提示ができなかったなどで全額自己負担した場合は、自己負担分を除いて払い戻しを受けれる療養費(家族療養費)の制度もあります。

図表:療養の給付の自己負担割合

高額療養費

公的医療保険被保険者の傷病については、上記の自己負担額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。計算方法は70歳未満と以上で異なります。70歳未満の場合だと図表のように定められていて、各月、同一の診療ごと、同一の医療機関ごと(外来・入院別、医科・歯科別)に行われますが、同一人が複数の医療機関でそれぞれ21,000円以上であれば、医科・歯科、入院・通院を合算できます。さらに同一世帯で同じ月に自己負担額が21,000円以上のものが2件以上あれば、一世帯で合算した額が対象です。領収日から2年以内なら請求可能ですが、限度額認定証を申請して医療機関に提示すれば、入院・外来診療ともに高額療養費が現物給付、窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。なお、差額ベット代食事代は高額療養費の対象外です。

図表:70歳未満の人の1ヶ月あたり医療費の自己負担限度額

医療保険

年払いで解約返戻金のない医療保険は次のように経費処理します。

入院保障

俗にいう180日ルールがあります。退院から180日以内に同じ病気で再入院した場合、前後の入院を1つの入院とみなします。30日の入院と60日の入院があったとすると90日が一回の入院としてカウントされ、60日型の保障であるならば残りの30日は保険金がおりないこととなります。このルールの対策としては長期入院時に保障してくれる医療保険を選ぶことです。2023年8月現在、国内最長なのは楽天生命「医療保険1095α」で、病気やケガによる入院は、1入院・通算ともに1,095日の長期保障で、がん(悪性新生物)、上皮内新生物、心疾患、脳血管疾患による入院は日数無制限で保障されます。

検査を目的とした健康診断や人間ドック等の入院は対象にはなりませんが、この検査で見つかった疾病の診断に引き続いて治療のために入院する場合は、支払の対象になります。

がん保険

特に切れないガンは、抗がん剤治療やホルモン剤治療による長期通院治療となり、こうした治療の際に一時金としてまとまった給付がある保険は検討対象となります。がんと診断された場合に以降の保険料支払いが免除される悪性新生物保険料払込免除特約をつけておけばさらに安心です。日頃の健康に留意し、定期的な健康診断を受診して早期発見・早期治療につながるように努めることで切れないガンの可能性を低くすることはできます。しかし可能性はゼロにすることはできません。こうしたものにこそ保険で家計が破綻しないように準備しておくことは必要なことといえるでしょう。

自覚症状のない人の申込や保険金目的での不正に対して公平を期するために、一般的に契約から90日間(3ヶ月間)の免責期間が設けられています。この期間にガンと診断確定した場合、保険契約は無効になるため、保険金・給付金の支払いはありません。

1回の入院で受け取ることができる支払限度日数や通算で受け取ることができる支払限度日数は定められていないため、これらの制限なく受け取ることができます。

傷害保険

保険料は被保険者の職業や職種によって決まるので、保険者の年齢、性別、家族の人数は関係ありません。

普通傷害保険

危険保証特約は、補償対象を就業中や通勤中の事故による怪我に限定する特約です。

法人契約の積立普通傷害保険では、支払った

家族傷害保険

被保険者の範囲は、契約時における関係ではなく、保険事故発生時における関係で判断されます。契約締結後に生まれた子は手続きをせずとも被保険者に加わります。追加保険料も不要です。

国内旅行傷害保険

住居を出発して帰宅するまでに被ったケガやトラブルによる損害を補償対象としますが、旅行中に発生した地震、噴火、またはこれらによる津波によるケガは補償の対象となりません。

海外旅行傷害保険

海外旅行中の地震・噴火またはそれらによる津波による傷害も補償対象になります。

交通事故傷害保険

国内外を問わず、被保険者が交通乗用具との衝突等によって被った傷害、運行中の交通乗用具に搭乗中もしくは駅構内にいるときの事故で被った傷害、交通乗用具や建物の火災などによる傷害を補償します。交通乗用具には、自動車、自転車、電車、船舶、航空機、エレベーター、エスカレーター、動く歩道などが含まれます。国内外を問わないため、海外旅行中の交通事故によるケガも補償の対象です。

積立傷害保険

日常の怪我などの傷害に備えながら、満期時には満期返戻金を受け取ることのできる貯蓄性のある保険です。法人が満期に受取った満期返戻金と契約者配当金を受け取る場合は、その全額を益金に算入し、保険料支払い時に積立保険料として資産に積立ててきた累計額を取り崩して損金に算入します。両者の差額は雑収入または雑損失として処理します。

就業不能保険/所得補償保険

就業不能保険所得補償保険は、どちらも医療を受けている間の生活費に備える保険です。就業不能保険は生命保険会社が所得補償保険は損害保険会社が取り扱っています。

どちらも介護医療保険料控除の対象となります。

傷病手当金

健康保険他の傷病手当金は、被保険者が病気や怪我による休業中の生活を保障するために支給されるものです。公的医療地域保険の国民健康保険や後期高齢者医療制度は任意給付、原則ありません。支給期間は1年6ヶ月、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されますが、連続して3日以上休んでいることなどの条件があります。この手当金を使って一郎(1年6ヶ月)さん(3分の2)に傷の手当てをしてあげなされ(3日連続)という制度なわけです。

図表のような支給要件をすべて満たす必要があり、から支給されます。被保険者であったものが資格を喪失した場合は、資格喪失日の前日に傷病手当金を受けている、または要件を満たしていれば支給されます。

図表:傷病手当金の支給要件

  • 病気・怪我のための療養であること(休日を含む)
  • 療養のために仕事に就けないこと
  • 原則として給料等をもらえないこと
  • 連続した3日以上の休業

なお、傷病手当金の支給額は図表の通りで、休業4日目から1年6ヶ月間(暦日)支給されます。支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、①支給開始日以前の継続した各月の標準報酬月額の平均値、②28万円(平成30年度)のいずれか低い方の額を使用して計算します。

障害年金

障害基礎年金および障害厚生年金における障害認定日は、障害の原因となった傷病の初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日とされます。

20歳前の年金制度未加入の期間に初診日のある傷病によって障害を負った場合でも、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害状態にあるときは、障害基礎年金が支給されることになります。ただし、受給権者の前年の所得が一定額を超える場合には、年金額の全部または2分の1が支給停止となります。

遺族厚生年金と障害基礎年金は併給可能です。老齢厚生年金を受給している配偶者が死亡すると、残された人は自らの年金だけで老後の生活を維持しなければならないこともあり、生活レベルの大幅な減退が予想されます。併給が可能になっているのは、所得保障という面から配偶者が受けていた年金の一部を遺族厚生年金として継続して受給できるようにするためです。

障害等級1級に該当する者に支給される障害基礎年金の額は、障害等級2級に該当される者に支給される障害基礎年金の額の100分の125(1.25倍)相当額です。

雇用保険の基本手当

原則として離職の日以前2年間に一般被保険者としての被保険者期間が通算12ヶ月以上あるものに対して支給されます。

自己都合退職、60歳定年退職者など、65歳未満の一般離職者に対する雇用保険の基本手当の所定給付日数は、最長で150日になります。

障害補償年金

同一事由により障害年金と労災保険の障害補償年金、または遺族年金と遺族補償年金を受取る場合、国民年金と厚生年金の支給は全額が支給され、労災保険からの給付が所定の割合で減額調整されます。

介護

公的介護保険で利用できるサービスは、要介護の場合は介護給付、要支援の場合は予防給付の現物給付を行うサービスを受けることができます。具体的なサービスには図表のようなものがあります。ただし、40歳以上65歳未満の第二号被保険者は、初老期認知症、脳血管疾患、末期がんなどの特定疾病に起因する者のみが対象です。

図表:介護サービスの給付におけるサービス

介護サービスに要した費用のうち一部は利用者負担として、図表のように支給限度額までは原則1割の自己負担で上記給付を受けることができます。なお、介護サービス計画(ケアプラン)の作成費用は無料ですが、施設を利用する場合における居住費と食費は全額利用者負担です。

要介護認定を受けた被保険者が居所で生活するための必要な住宅改修を行った場合も、1割の自己負担、9割相当額が居宅介護住宅改修費として支給されます。なお、支給額は基準額20万円の9割で18万円が限度となります。

図表:介護サービスの給付の利用者負担割合

介護老人保健施設は、65歳以上の要介護高齢者に対し、在宅復帰を目標に医療ケアやリハビリなどを提供する施設です。一定期間での退去が前提になります。

高額介護合算療養費

療養の給付に係る一部負担金等の額および介護保険の利用者負担額の年間合計金額が著しく高額になる場合には、負担の軽減を図る観点から高額介護合算療養費が支給されます。毎年8月1日~翌年7月31日の1年間に支払った医療保険の自己負担額および介護保険の自己負担額が対象となります。同一の医療保険制度に加入している世帯であれば、世帯の医療保険と介護保険の自己負担分を合算することができます。

介護休業給付

家族を介護するために休業し、一定の要件を満たしている場合に、雇用保険から休業開始時賃金の67%相当額を受給できる制度です。同一の対象家族一人につき3回、通算で93日に達するまでの介護休業に対して支給されます。無理するな(67%)というささやかな(3回)救済(93日)です。もっと助けてやれや(80%)。

出産・育児

出産一時金(家族出産一時金)は、被保険者や被扶養者が出産した場合に40.4万円(2023年4月から48.8万円)、さらに産科医療補助制度に加入する医療機関等において出産した時は上乗せされて42万円(2023年4月から50万円)が支給されます。この金額は1児につきであり、多生児出産の場合は胎児数分だけ支給されます。出産にお金がかかる心配は(48.8万円)、これ(50万円)で一時しのぎなさい。

産科医療補助制度は、妊婦が安心してお産ができるように分娩機関が加入する制度です。加入期間でお産をした場合、分娩時に何かしらの事情で重度の脳性麻痺となった赤ちゃんとその家族の経済的負担が補償されます。

なお、出産費貸与制度があります。これは、出産費用に充てるため、出産育児一時金が支給されるまでの間、出産育児一時金の8割に押す党する額を限度に、無利子で資金の貸付を受けられる制度です。

出産手当金

健康保険他の出産手当金は、被保険者が出産による休業中の生活を保障するために支給されるものです。死に(42日)そうな思いをしながら出産ご苦労様(56日)でしたと、お母さんに(3分の2)渡される手当というわけです。公的地域医療保険の国民健康保険や後期高齢者医療制度は任意給付、原則ありません。

図表:出産手当金の支給期間

出産予定日以前の42日(双児以上の場合は98日)から出産の日後56日までの間、加えて出産の日が予定日よりも遅れた場合はその遅れた期間も支給されます。

図表:出産手当金の支給額

  • 休業1日につき、支給開始日以前に継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均値を@30で割った額の3分の2相当額
  • 事業主から報酬を受け取れる場合:その報酬を控除した額
  • 傷病手当金を併給、傷病手当金の方が多い場合:差額を出産手当金に上乗せ

雇用保険の育児休業給付金

育児休業中に受けることができる給付金です。一人で育児は無理なので(67%)、半年たったら半分(50%)やるよ。いやいや半年待たずにてめーもやれ(80%)よ。

図表:育児休業給付金の給付条件

  • 雇用保険に加入している
    自営業者、フリーランス、個人事業主は受給できません。
  • 過去2年間のうち、就業日が11日以上ある月が12カ月以上ある
    短期間や短時間のアルバイト従業員は受給できません。
  • 復帰後に継続して就業する。
    育児休業を申し出る時点で退職することが決まっている場合は支給の対象外です。
  • 育児休業中の就業日数が月10日以下かつ80時間以下である。
    恒常的・定期的な就労がある場合は育児休業をしていることにはなりません。

育児休業給付金は、休業前6ヶ月間の平均賃金を基準として、最初の6ヶ月間は67%、その後半年間は50%を原則として受け取ることができます。ただし、休業中にも賃金が発生する場合は注意が必要で、図表のように金額によっては減額、支給停止になることもあります。なお、この賃金は雇用保険に加入する本業からの賃金で、副業先からの賃金、業務委託先からの報酬による収入があったとしても給付金は減額されません。

図表:育児休業給付金の給付額

  • 休業前賃金月額80%以上:賃金月額00%相当額
  • 休業前賃金月額13(30)%超え:賃金月額80%と賃金の差額
  • 休業前賃金月額13(30)%以下:賃金月額67(50)%相当額

図表:育児休業給付金の給付期間

  • 通常の育児休業…子が1歳になるまで
  • 延長する場合…子が1歳6カ月になるまで
  • 再延長する場合…子が2歳になるまで

保育所における保育の実施が行われないなどの理由により、子が1歳に達する日以後の期間に育児休業を取得する場合は、所定の手続きにより最長2歳に達する日前までの期間、育児休業給付金の支給対象となります。

育児休業給付金と税金・社会保険

育児休業給付金は所得ではないため、課税の対象ではありません。また、育児休業中は社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)が免除されます。免除期間中は社会保険料を支払ったとみなされるため、将来受け取る年金の額には影響しません。ただし、免除を受けるには申請が必要です。

出生時育児休業給付金

子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、産後パパ育休を取得した場合、一定の要件を満たすと支給を受けることができます。

高齢就業・失業

雇用保険基本手当

特定理由離職者以外が受給するためには、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが要件となっている。

主たる事業所における1週間の所定労働時間が20時間未満の人は、原則として雇用保険の適用外ですが、2つ以上の事業主に雇用されている65歳以上の労働者は、下記の一定の条件を満たせば、申し出により高年齢被保険者となることができます(雇用保険マルチジョブホルダー制度)。

  • 各事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満
  • 2つ以上の事業所での1週間の所定労働時間の合計が20時間以上
  • 2つ以上の事業所それぞれの雇用見込みが31日以上

失業中に収入ありの場合、「1日あたり収入<=離職時賃金日額80%(6,052円*80%)-基本手当日額(4,612円)+控除額(1,331円)=1,560円」であれば雇用保険の基本手当(失業手当)は減額されない。

https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/001125391.pdf

高齢者雇用継続基本給付金

原則として60歳到達時に一般被保険者としてのみなし算定基礎期間(被保険者であった期間)が5年以上ある被保険者が60歳以降も引き続いて勤務するとき、60歳から65歳到達月までに支払われる各月の賃金額が60歳到達月(または受給資格を満たした日)の賃金月額と比較して75%未満に低下していると、各月ごと賃金の15%上限が支給されます。仕事辞めるなんてこと(75%)言ってごねない(5年)で、会社にいこう(15%)よというわけですね。

高年齢再就職給付金

一般被保険者としての被保険者であった期間が5年以上ある人が基本手当を受給し、基本手当の支給日数を100日以上残したまま、60歳以降に1年を超えて雇用が見込める安定した職業に就き、再就職後の各月に支払われる賃金が離職時賃金の75%未満になっっている場合に支給される給付金です。支給残日数に応じて再就職日から1年間または2年間支給されます。

埋葬費

埋葬料(家族埋葬料)

被保険者(または被扶養者)が死亡した時、一律5万円が支給されるものです。被保険者(被扶養者)が死亡した場合は、その家族(被保険者)に支給され、家族がいない場合は実際に埋葬した人が埋葬料の範囲内で埋葬にかかった費用が支給されます。被保険者であった人がその資格を喪失した3ヶ月以内に死亡した場合も埋葬料が支給されます。

葬祭費

業務災害により被保険者が死亡した場合は、労災保険から葬祭を行うものに葬祭費が支給されます。支給額は①「315,000円+支給基礎日額×30日」または②「給付基礎日額×60日」のいずれか高い方です。

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