貿易 international trade 関税 tariff

【計算実務対応】奥の深い関税の話。

貿易 international trade

ステップ1:商品を分類する。

商品の輸入の際は、その商品の関税率がいくつなのかで価格が変わってきます。
だからその税率を調べようとしたとき、「関税率表」を参照することになります。
ちなみにこんなものです。リンク→ http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm
しかし、実際に見てみるとその膨大な量に戸惑うのではないでしょうか。
この表の見方には一定のルールがあります。
今回は正しいルールを知ることで、正確な商品の分類ができることを目指します。

実は昔はこの関税率表がさらに混沌としていました。
貨物の分類には、透明・公正、国際的統一という原則があってしかるべきですが、
昔の関税率表ではこうした原則を守ることが困難でした。
「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」(HSconvention; international convention on the Harmonized commodity description and coding System、※リンク①)が発行されたことで、商品の分類はこの問題を乗り越えることができたのです。
関税率表の見方のルールは「関税率表の解釈に関する通則」(輸入統計品目表の解釈に関する通則、※リンク②)を使用します。
通則は全部で6つあり、所属の決定は通則を1から順番に見ていき、適用していきます。
※リンク①→ https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-S63-0001_1.pdf
※リンク②→ http://www.customs.go.jp/tariff/2017_1/data/tuusoku.pdf

ルール1:関税率表の構成(通則1及び6)

関税率表は、部→類→節→項→号とそれぞれの注で構成されています。
しかし、部~節の表題はあくまで参考、便宜的に設けただけで、
項~号の表題、そして、部~号の注の規定が必要な部分になります。
これを使って物品の所属を決定していきます。
まずは項の所属を決めて、その次に号の所属を決定しましょう。

ルール2:未完成品と混合結合品の所属(通則2)

例えば、弦のないバイオリン、分解してあるテーブル、
はたしてこれらはバイオリンやテーブルとして扱ってもいいのでしょうか。
こうしたものは完成品のバイオリン、テーブルとしてよいことになっています。
未完成品でも完成した物品として重要な特性があれば完成品とみなします。
またオマケのようについているものも、本体に含むものとしてよいのです。

ルール3:二以上の材料又は物品から成る物品の所属(通則3)

ピッタリな分類があればそれが一番楽なのですが、そうでない場合もあります。
例えば、乗用車用絨毯。
関税率表情では、乗用車の付属品とみるか、絨毯とみるか、迷うところです。
基準としては「もっとも特殊な限定」という視点です。
乗用車の付属品は、ミラー、カーナビ、絨毯と思い浮かぶ。
絨毯は、プラスチック製の絨毯、羽毛の絨毯と思い浮かぶ。
乗用車の付属品→絨毯という順番になりますね。
絨毯のほうが限定的となりますので、絨毯の税率が適用されます。

また、スパゲッティ、チーズ、トマトソースのセットがあった場合は、
それぞれで分けて考えるか、まとめて考えるかとの選択になります。
この基準は「重要な特性」です。スパゲッティの税率を適用します。
この例の場合は、パスタをつくるためのセットなのでスパゲッティが重要な特性ですね。
ただし、セットにできない注がある場合もあります。

どうしても所属が決定できないという場合は、数字上の配列で最後となる項に分類しましょう。
綿50%、ポリエステル50%のTシャツの場合は、その他のTシャツと扱うことになります。

ルール4:類似による所属(通則4)

通則1、2、3で所属を決定できない物品は、その物品に最も類似する物品が属する項や号に分類します。

ルール5:容器と包装の所属(通則5)

容器や包装はその物品に含まれるものとして考えます。
ギターのケースはギターに含まれます。
ただし、ここで重要なのが容器や包装の意味合いです。
例えば純金のギターケースは純金が「重要な特性」であるため、純金の税率が適用されます。
また、包装はその場限りで消費されるものですが、
仮に繰返し利用できるなら当該商品に含めることはできません。

ステップ2:適用する関税を決める。

 副業解禁の時勢もあり、輸入ビジネスなどで関税と接点をもつ人も多くなってきているのではないでしょうか。法人として大きな取引きをする際は「一般税率」というめんどくさいものを使うのですが、基本的に個人なら「簡易税率」といって簡単に済ます方法があります。今回はその適用条件についてまとめてみました。

まずは、基本の税率を学ぼう。「基本税率」

 関税の基本の税率が「基本税率」で、関税定率法第3条に規定されています。これから下で説明するようなことがなければこれを使って関税を計算します。関税率表という品目ごとに税率が決まられた表があるのでそれを使って税率を確かめます。

期間限定の税率がある。「暫定税率」

 一定期間に輸入されるものに課する関税の税率を「暫定税率」といい、関税暫定措置法第8条の2に規定されています。「基本税率」に比べて法改正によって税率がころころ変わりますが、そのことで国内で出回る輸入品の量を調整することができ、物価を安定させる効果があります。「基本税率」と「暫定税率」の二つある輸入品の場合は、「暫定税率」を適用します。

発展途上国は優遇される。「特恵税率」

 日本国は先進国であるので、国際的な役割として発展途上国を支援していく必要があります。一定の発展途上国からの原産品の輸入には関税を低くして、その国の産業を応援するのです。このように他国と比べて有利な関税の税率を「特恵税率」と言い、関税暫定措置法第2条に規定されていて、一定の発展途上国は政令によって決められます。この「特恵税率」がある場合は、「基本税率」や「暫定税率」は無視し、「特恵税率」を使います。ちなみに「基本税率」「暫定税率」「特恵税率」は国会で定められたものなのでまとめて「国定税率」といいます。

世界で貿易を推進する。「WTO税率」

 全世界で貿易を活発化させることで経済を成長させることを目的にWTOという組織があります。ここで決定された税率のことを「WTO税率」といいます。「WTO税率」と「国定税率」の二つがある場合は、税率の低い方が適用されます。

仲の良い国とは特別。「EPA税率」

 WTOは全世界ですが、特定の国家と条約EPA等を結んで関税を決めることもあり、それで決まられた税率は「EPA税率」、「WTO税率」と「EPA税率」はまとめて「協定税率」といいます。「EPA税率」が、わざわざWTOとは別にする取り決めなので、基本的に「WTO税率」より低くなり、「EPA税率」が優先されます。そして「WTO税率」と同じように、「国定税率」と「EPA税率」が二つある場合は、税率の低い方が適用されます。ちなみに、「国定税率」と「協定税率」をまとめて「一般税率」といいます。また、現在EPAを締結している国または地域は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴルです。

めんどくさいのは嫌だ。「簡易税率」

 「一般税率」はとてもめんどくさい。どの税率を適用するかを調べるだけでも大変です。そこで20万円以下(※)のときは「少額輸入貨物に対する税率」(関税定率法第3条の3)、自分で携帯したり、別送したりするときは「入国者の輸入貨物に対する税率」 (関税定率法第3条の2) という「簡易税率」で、できるだけカンタンに済ます制度があります。もちろんめんどくさいけど「一般税率」を使っても大丈夫ですし、「一般税率」で無税のものは無税です。犯罪がらみのものは輸入もできませんし、それはどうなのよというものは政令で「簡易税率」を適用しないと決められています。
※正確には、輸入貨物の課税標準となる価格の合計額(従量税品にあっては従量税品における課税価格の計算方法に準じて算出した価格の合計額)が20万円以下の輸入貨物

ステップ3:関税額を計算する。

「関税率表」が読めると、関税率の欄には、10%という表記もあれば、107円/1kgという表記もあるのが分かるかと思います。
関税には2種類も課税額の決め方があります。
1つ目は、消費税のような、貨物の価格を課税標準として、それに対して税率を掛けて算出した税金を従価税といいます。
2つ目は、酒税のような、貨物の重量等を課税標準として、それに対して税率を掛けて算出した税金を従量税といいます。
そしてもう一工夫、国税通則法の準用で端数の処理ができるようになれば、関税額を算出することができるようになります。
今回はその計算方法を学習していきましょう。

貨物の価格が課税標準となる場合

まずは貨物の価格が課税標準となる従価税の算出についてです。
従価税は、課税標準×税率=税額、と計算します。
そして、課税標準は千円未満、税額は百円未満を切捨てる端数処理を行います。

例題1:標準価格8,324,000円、税率12%の貨物を輸入した場合の関税額。
8,324,000円×12% ←端数処理は要しない。
=998,880円
≒998,800円 ←税額は百円未満を切捨てる。

例題2:標準価格11,356,286円、税率8%の貨物を輸入した場合の関税額。
11,356,286円×8%
=11,356,000円×8% ←課税標準は千円未満を切捨てる。
=908,480円
≒908,400円 ←税額は百円未満を切捨てる。

貨物の重量が課税標準となる場合

次は、貨物の重量等が課税標準となる従量税の算出についてです。
従量税は、課税重量等×税率=税額、と計算します。
そして、課税重量等は、税率の円以上の位から2位を引いた小数位(ただし、税率の円以上の位が2桁以下の場合は整数位)までを、税額は百円未満を切捨てる端数処理を行います。

例題1:課税重量3,265kg、税率15円/kgの貨物を輸入した場合の関税額。
3,265kg×15円/kg ←端数処理は要しない。
=48,975円
≒48,900円 ←税額は百円未満を切捨てる。

例題2:課税重量1,254.325kg、税率138円/kgの貨物を輸入した場合の関税額。
1,254.325kg×138円/kg
≒1,254.300kg×138円/kg
 ←課税重量は税率の円以上の3位から2位を引いた小数第1位までを切捨てる。
=173,093.40円
≒173,000.00円 ←税額は百円未満を切捨てる。

例題3:課税重量1,564.246kg、税率1,211円/kgの貨物を輸入した場合の関税額。
1,564.246kg×1,211円/kg
≒1,564.240kg×1,211円/kg
 ←課税重量は税率の円以上の4位から2位を引いた小数第2位までを切捨てる。
=1,894,294.64円
≒1,894.200.00円  ←税額は百円未満を切捨てる。

例題4:課税重量326kg、課税価格57,213円、税率(190-課税価格)/kgの貨物を輸入した場合の関税額。
重量当たり課税価格=326kg÷57,213円=175.50円/kg
税率=190円/kg-175.50円/kg=14.50円/kg
関税額=326kg×14.50円/kg=4,727円≒4,700円 ←税額は百円未満を切捨てる。

消費税等

消費税等は消費税と地方消費税のことで、すべて従価税、現行税率は、消費税7.8% + 地方消費税2.2% = 10%です。
消費税等課税価格=関税課税価格+関税額+酒税額等 ※千円未満は切捨て、関税課税価格は端数処理しない。
消費税額=消費税課税価格×消費税率(7.8%) ※百円未満は切捨て
地方消費税額=消費税額×地方消費税率(22/78) ※百円未満は切捨て(地方税法72条の82)

例題1:消費税率は7.8%、地方消費税率は消費税率の22/78のとき、課税価格3,875,620円、関税率11%の貨物を輸入した場合の消費税等額。
関税課税価格=3,875,620円≒3,875,000円 ※千円未満は切捨て
関税額=3,875,000円×11%=426,250円=426,200円 ※百円未満は切捨て
消費税課税価格=3,875,620円+426,200円=4,301,820円≒4,301,000円 ※千円未満は切捨て、関税課税価格は端数処理しない。
消費税額=4,301,000円×7.8%=335,478円≒335,400円 ※百円未満は切捨て
地方消費税額=335,400円×22/78=94,622円≒94,600円 ※百円未満は切捨て

例題2:消費税率は7.8%、地方消費税率は消費税率の22/78のとき、課税容積は1,286L、課税価格1,234,680円、関税率110円/Lの貨物を輸入した場合の消費税等額。
関税額=1,286L×110円/L=141,460円≒141,400円 ※百円未満は切捨て
消費税課税価格=1,234,680円+141,400円=1,376,080円≒1,376,000円 ※千円未満は切捨て、関税課税価格は端数処理しない。
消費税額=1,376,000円×7.8%=107,328円≒107,300円 ※百円未満は切捨て
地方消費税額=107,300円×22/78=30,264.1・・・≒30,200円 ※百円未満は切捨て

酒税等

酒税、揮発油税、石油ガス税等の場合の課税標準の端数処理は次のようになっています。
酒税→10mLまで
揮発油税→1Lまで
石油ガス税→1kgまで

例題1:消費税率は7.8%、地方消費税率は消費税率の22/78、酒税率56,500円/kLのとき、課税容積12kL、課税価格8,862,320円、関税率21.3%のワインを輸入した場合の消費税等。
酒税額=12kL×56,500円/kL=678,000円 ※百円未満は切捨て
関税課税価格=8,862,320円≒8,862,000円 ※千円未満は切捨て
関税額=8,862,000円×21.3%=1,887,606円≒1,887,600円 ※百円未満は切捨て
消費税課税価格=8,862,320円+1,887,600円+678,000円=11,427,920円≒11,427,000円 ※千円未満は切捨て、関税課税価格は端数処理しない。
消費税額=11,427,000円×7.8%=891,306円≒891,300円 ※百円未満は切捨て
地方消費税額=891,300円×22/78=251,392.3・・・≒251,300円 ※百円未満は切捨て

複数貨物の輸入の場合

按分問題

ステップ4:関税を納める。

手動確定

基本の申告納税方式と例外の賦課課税方式がある。

申告納税方式(関税法6条の2第1項1号)
①納税すべき税額又は当該税額がないことが、納税義務者のする申告により確定することを原則とする。
②しかし、その申告がない場合、又はその申告に係る税率の計算が、関税に関する法律に従っていなかった場合、その他当該税率が税関長の調査したところと異なる場合に限り、税関長の処分により確定する。

賦課課税方式によるとされている関税以外の関税が申告納税方式をとる。

賦課課税方式(関税法6条の2第1項2号)
納付すべき税額がもっぱら税関長の処分により確定する。

賦課課税方式によることとされている関税
①本邦に入国する者がその入国に際して携帯して輸入し、又は別送して輸入する貨物等に対する関税
②課税価格20万円以下(関税法67条の申告を行う旨を申し出があった場合を除く。)、又は寄贈品に係る郵便物に対する関税
③相殺関税・不当廉売関税
④関税法又は関税定率法その他の関税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされる関税
⑤関税法又は関税定率法以外の関税に関する法律の規定により税額の確定が賦課課税方式によるものとされている関税
⑥過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税

自動確定

延滞税(関税法6条の第2項)
特別の手続きを要しないで納付すべき税額が確定する。

ステップ5:関税額を訂正する。

修正申告

更生請求

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