不確実性管理とは 良い方向にも悪い方向にも備える、資源配分の技術

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人生設計を進めていくと、想定通りに進むことばかりではありません。思ったより早く資産が増えることもあれば、思わぬ病気で入院することもあります。将来の結果が、想定からブレることは避けられません。不確実性管理(リスクマネジメント / risk management)は、このブレにあらかじめ備えるための考え方です。ここでは、その仕組みを詳しく見ていきます。

(ここに表を挿入)

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総論|不確実性管理の考え方

不確実性とは、結果が想定からブレることです

不確実性という言葉は、悪い出来事だけを指すと思われがちですが、本来は良い方向のブレも含みます。投資した株式が値上がりすることも、思わぬ副収入が入ることも、想定からのブレという意味では不確実性の一種です。このブログで扱う不確実性管理は、良い面と悪い面の両方を視野に入れた、広い意味での考え方です。

危機管理との違いを整理します

社会的資源には、危機管理(リスクマネジメント / risk management)という下位カテゴリがあります。危機管理は、生活に損失や被害をもたらす可能性のある不確実性に絞り込み、保険などを使って第三者へ負担を移すことに焦点を当てた、狭い意味での考え方です。不確実性管理は、この危機管理を含みながら、良い方向のブレや、移転以外の対応まで扱う、より広い枠組みだと考えてください。同じリスクという言葉でも、あなたがどちらの意味で使っているかによって、扱う範囲が変わってきます。

発生確率と影響度という2つのものさしで測ります

不確実性の大きさを判断するときに使うのが、発生確率と影響度という2つのものさしです。どれくらいの確率で起こりそうか、そして実際に起きたときにどれくらい大きな影響を及ぼすか。この掛け合わせで、目の前の不確実性にどれだけ本気で備えるべきかが見えてきます。発生確率も影響度も低いものにまで手厚く備えれば、労力ばかりがかさんでしまいます。逆に、確率も影響も高いものを放置すれば、積み上げてきた資源が一度の事態で崩れかねません。

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各論|4つの対応を使い分けます

どの対応を選ぶかは、総論で紹介した発生確率と影響度の組み合わせで決まります。損失が小さく、発生確率も低いものは、あえて手を出さずに保有します。損失は小さくても、発生確率が高いものは、日々の工夫で確率や影響度そのものを小さくする低減を選びます。逆に、損失が大きいのに発生確率が低いものは、負担を第三者に移す移転を選びます。そして、損失が大きく、発生確率も高いものは、その原因になる行動自体をやめる回避を選びます。同じ不確実性でも、この2つのものさしのどこに位置するかによって、選ぶべき対応は変わってきます。

回避 — 原因になる行動自体をやめること

回避は、不確実性の原因になっている行動そのものをやめる対応です。勝算の薄い事業への参入を見送る、無理な借入をしてまで新しい挑戦をしない。あなたが個人的資源全体について判断を下すとき、この回避の判断が、致命的な失敗を未然に防ぐ役割を果たします。挑戦そのものをやめるわけではなく、勝ち目のない挑戦だけを見送るのが回避です。損失も発生確率も大きい不確実性には、この回避が向いています。

低減 — 発生確率や影響度を小さくする工夫を加えること

低減は、不確実性そのものはなくさず、発生確率や影響度を小さくする工夫を加える対応です。生物的資源全体で見れば、生活習慣を整え、定期的に健康診断を受けることが、病気になる確率や重症化のリスクを下げる低減にあたります。不確実性を完全にゼロにはできないからこそ、日々の工夫でその大きさを小さくしていく発想です。損失は小さくても発生確率が大きい不確実性には、この低減が向いています。

移転 — 結果を第三者に肩代わりしてもらうこと

移転は、不確実性がもたらす結果を、自分以外の第三者に肩代わりしてもらう対応です。社会的資源全体が、この移転を担っています。経済管理・教育管理・税務管理・法務管理といったカテゴリは、良い方向のブレも悪い方向のブレも含めて移転を扱います。事業を共同で運営して利益もリスクも分け合うことや、資産を計画的に贈与・相続していくことも、移転の一種です。一方、危機管理は、そのうち生活に損失や被害をもたらす可能性のある、悪い方向への不確実性だけに絞り込み、保険を使ってその負担を第三者へ移します。同じ移転でも、危機管理が扱うのは、その中の悪い方向だけに限定された範囲だと考えてください。損失は大きくても発生確率が小さい不確実性には、この移転が向いています。

保有 — あえて何もせず、そのまま受け入れること

保有は、対応にかかるコストが見合わないと判断し、あえて何もせずに受け入れる対応です。将来的資源全体で見れば、株式や投資信託の値動きに一喜一憂せず、短期的な下落をそのまま受け入れて長期保有を続けることが、この保有にあたります。すべての不確実性に対応しようとすると身動きが取れなくなるため、あえて受け入れるという選択も、立派な対応のひとつです。損失も発生確率も小さい不確実性には、この保有が向いています。

4つの対応は、教科書全体に散らばっています

この4つの対応は、社会的資源の危機管理だけに集まっているわけではありません。保有は将来的資源全体に、移転は社会的資源全体に、低減は生物的資源全体に、回避は個人的資源全体に、それぞれ対応する形で配置されています。特定の管理領域にひとつずつ結びつけているわけではなく、資源のまとまりごとに向いている対応が異なる、という形です。不確実性管理は、特定のカテゴリの中だけで完結する考え方ではなく、人生設計のあらゆる場面に橋渡しされている考え方だと捉えてください。

→ 詳細記事「資源配分を支える3つの理論」へ https://damahiro.com/?page_id=8605

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